HSPとは、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略称で、「非常に感受性が強く、敏感な気質を持った人」という意味です。
人口の15~20%、約5人に1人がHSPで環境に左右される後天的なものではなく、先天的な気質だと言われています。HSPは病気ではなく生まれ持った「性質」であるため、治療方法がありません。
HSPは不安や恐怖を感じやすい性質があります。相手の気持ちを察することができる反面、ストレスや生きづらさを抱えがちです。
HSPは長所?治すこと?
HSPは生まれ持ったその人の特性、いわば個性です。HSPは相手の気持ちを理解できるので、人を褒めるのが得意です。また、相手の感情に共感できるので、弱い人の立場になって物事を考えられます。長所になる一方で、短所にもなりえます。助けずにはいられないため、自分も傷ついてしまうリスク可能性が高くなるのです。
HSPは病気ではないので、治療法はありません。特性を理解し、一生付き合っていく必要があります。自分がHSPの予感がするなら、セルフチェックをしてみるとよいでしょう。HSPの特徴が複数あてはまった場合には、特徴をしっかり理解し、どのように共存していけばいいのか理解するのが大切です。
【HSPセルフチェック診断】HSPの特徴
HSPは人一倍繊細なため、傷つきやすく疲れやすい特徴があります。そのため、生きづらさをおぼえたり、生きるのがしんどいと感じたりします。
HSPは生まれ持った気質のため治すことはできませんが、特性を知ることで生きづらさを軽減できます。HSPセルフチェック診断をすれば、より深くHSPを理解できるでしょう。
「もしかして、自分はHSPかも」と疑っている人はぜひ一度セルフチェックをしてみてください。
1.周囲の人の気分や機嫌が移りやすい
HSPは繊細なので、周囲の人の機嫌に左右されやすい傾向にあります。例えば周りの人が怒られていると、自分も怒られたような気分になってしまいます。もちろん、プラスの感情にも影響を受けますが、マイナスの感情に引っ張られてしまいやすいです。
また、他人がイライラしていると自分もイライラしてしまう例もあります。結果として他人に振り回されていると感じてしまうため、対人関係に疲れてしまいがちです。
2.人に見られていると緊張して何もできなくなる
HSPは視線にも人一倍敏感なため、人に見られていると緊張してしまい、何もできなくなってしまうことがあります。
HSPの人は視線を感じると、非HSPの人以上に圧迫感をおぼえ、ストレスを抱えてしまいやすいのです。他人の視線が異常に気になる人は、他のチェックリストと一緒に確認するとよいでしょう。
3.小さな環境の変化にも敏感に反応し混乱してしまう
HSPはささいな環境の変化も敏感に気づけます。小さな環境の変化を感じ取れるのは長所にもなりますが、同時に環境の変化に敏感になりすぎて、混乱してしまうことがあります。
いつもと同じ場所に物がない、エアコンの風がいつもより冷たく感じるなど、ちょっとした変化もHSPにとっては大きな変化となるのです。わずかな変化に感じるかもしれませんが、HSPの人は混乱してしまいます。
4.大きな音・臭いなどを不快に感じることがある
HSPの人は敏感です。そのため、大きな音や臭いなどに人一倍不快感を覚えることも少なくありません。グラスや食器を置く音、食べ物や芳香剤の香りなど気になったりしませんか?
自分がHSPと認識すれば、改善できることはたくさんあります。HSPへの認識は、自分にとって不快指数の高いものを効率的に避けられるでしょう。
5.涙もろい・すぐ感動してしまう
CMを見るだけで泣いてしまう。周りの人が心を動かされないことでも、すぐに感動することはありませんか。
HSPは一般の人より感受性が豊かです。そのため、涙もろい、すぐ感動してしまう特性があります。感受性が豊かなのは、それだけ誰かに寄り添い誰かのために動けるということです。感受性が強いことはHSPの長所ともいえるでしょう。
6.失敗するのが怖い・恐れて何もできなくなる
HSPは失敗するのを非常に恐れる傾向にあります。失敗や批判されるのを恐れていることから、怖くて何もできなくなってしまうことも多いです。
挑戦したい気持ちがあるのに、失敗した後のことばかり考えてしまい挑戦できない。リスクや挑戦後のことを考えるのも大切です。しかし、HSPは結果が気になって、なかなか踏み出せない傾向にあります。
7.人と長時間一緒にいると疲れてしまう
人といるのは好きだけど、長い時間を一緒に過ごすと、疲れてしまうことはないでしょうか。HSPは人一倍感情が豊かで、周りの人の感情に左右されることがあります。「イライラしてるのは自分のせいかも」「自分の行動のせいで相手が嫌な思いをしているのかな」なんてぐるぐると考えてしまうことも少なくありません。
人と長時間いると必要以上に気を使いすぎたり、周りの人の感情に振り回されたりするため、疲れてしまう人が多いのです。
8.人が怒っているところを見るとストレスになる
人が負の感情、特に怒りの感情に飲み込まれているのを見て、いい気分になる人は少ないでしょう。特にHSPは周りの人が怒っている・怒られているところを見ると、負の感情に飲み込まれてしまい、大きなストレスがかかってしまいます。
さらにHSPは、怒られている人を見ると、まるで自分が怒られているような感覚になってしまいます。
9.一つの物事を考えている時間が長い
HSPの人は情報をインプットすると、納得がいくまで考えつくします。考えている際には、特に言葉を発しないので、ぼーっとしている印象を与えます。
HSPは話題をふられると、さまざまな物事を考えてしまいます。周りの人に構わず、気になる物事を深く考え込んでしまうため、「きちんと話を聞いているのかな」と思われることも多いです。
10.インスピレーションを受けやすい
HSPの人は一つの事象からさまざまな物事を連想することができるため、インスピレーションを受けやすい傾向にあります。インスピレーションを受けやすいことから、HSPの人の中では芸術に長けている人も多くいます。
インスピレーションを受けやすいので一人でいても退屈することが少なく、一人の時間を楽しむことができます。HSPの大きな武器ともいえるでしょう。インスピレーションから何かを始めてみるのもおすすめです。
11.創造力がある・創造することが好き
HSPの人は、一つの事柄からさまざまな物事を連想できるので、想像力の高さが評価されることも多いでしょう。また、イメージしたものを創造するのが好きな人も多いです。
想像力はAIにも勝る人間特有の武器です。HSPの人は事務的な作業を行うより、クリエイティブな仕事に就く方が自分の魅力を社会に還元できます。
12.多くの情報を一気に処理することができない
HSPでない人に比べて、一つの物事からさまざまな情報を得ることができます。それはHSPの人の武器になると同時に、弱点にもなってしまうのです。一つの物事から情報を深く読み取ってしまうため、多くの情報を一気に処理できません。
情報を読み過ぎるために、物事を考える際に疲れてしまう原因にもなってしまうのです。HSPは多くの情報を処理するのではなく、一つひとつの情報をしっかり処理するとよいでしょう。
HSPの治療法とは?
HSPは病気ではなく、生まれ持った特徴です。そのため、医学的な治療法はありません。風邪や病気などのように薬で治せないのです。
もし自分が敏感すぎるがゆえに、生きづらさを感じてしまっているのであれば、まずセルフチェックをしてみましょう。自分がHSPに該当するなら、性質の傾向を理解したうえで対策できます。
HPSは病気ではないので、病院を受診したからと言って診断がつくわけではありません。HSPの特性が原因で起こるうつ病や適応障害といった二次障害に対応することは可能です。HSPだと思っていたら実は発達障害だったなんてこともありますので、一度受診をしてみるのをおすすめします。
また、個々の「生きづらさ」に関してはカウンセリングで自分自身を見つめ直すことで解決できることもあるでしょう。
HSPの悩み改善・対策・対処法5選
HSPは繊細なため悩んでしまうことが多く、生きづらさを感じる人も多いです。HSPの人は疲労やストレスから、うつ病や適応障害などの二次障害にもなりやすいでしょう。
セルフチェックでHSPが疑われた場合は、HSPの人がよく抱えがちな悩みを把握し、対策・対処法をしっかりと頭にいれておくのがおすすめです。
ここではHSP特有の悩みと解決方法を紹介します。
1.苦手な人とは距離を取る
HSPは共感力が高いので、周りの人の感情に影響されやすい特性があります。相手がイライラしたり、怒っていたりすると「自分が何かしてしまったのではないか」と悩んでしまうことも。
自分が苦手と感じる人とはできるだけ距離を置くようにしましょう。無理をして、付き合う必要はありません。必要最低限のコミュニケーションだけ取ればよいでしょう。
2.人の相談に乗りすぎない
HSPは共感力の高さから、人から相談しやすいと思われ、相談役になりがちです。しかし、共感力が高いため、自分まで相談者のマイナスの感情に引っ張られてしまうことがあります。
人の相談に乗りすぎないのは自分を守るために重要なことです。「あの人も困っているから」というだけで、周りの人みんなの相談に乗ってしまうのはやめたほうがよいでしょう。
3.毎日、自分の体調や心の調子をしっかり把握する
心身の調子をしっかりと把握することは、HSPの人にとって非常に重要なことです。その日の体調や心の調子に合わせて、できること・やることを決めると、疲れやストレスを防げます。
日記やアプリなどで心身の調子、その日したことを記録することであとで振り返ることができ、どれくらいまで頑張れるのかを可視化することが可能です。
4.一人でいる時間をしっかり作る
HSPは共感力が高く、人と一緒にいる時間が長くなると疲れてしまいます。周りの人に合わせて行動するのではなく、一人でいられる時間もしっかり確保するのが重要です。
ひとり時間では一人で物事を考えてもいいですし、インスピレーションを生かしクリエイティブなことをしてもよいでしょう。周りの人に影響されない自分だけの時間を作ることは、HSPの人にとって大切なことなのです。
5.周囲の価値観や習慣を取り入れすぎない
HSPは刺激に敏感です。周囲の人の価値観や習慣を、取り入れることは悪いことではありません。しかし、他人に合わせるのは、共感力の高いHSPにとって、生きづらさを感じる原因になります。
「あの人が良かれと思って紹介してくれたから」と思いがちですが、「自分は自分」と割り切るのも重要です。周りの人に流されない強い心を持ちましょう。自分の体調、心の調子と相談しながら、自分に合った習慣を作っていきましょう。
空気が読めることは素晴らしい長所!
HSPは非常に感受性が強く、敏感な気質を持ち、5人に1人が持っている生まれ持った性質です。感受性が高いことから周りの人の心に寄り添ったり、共感したりするのが得意です。一方、周りの人から影響されがちです。そのため、HSPでない人より疲れやすく、生きづらさを感じてしまうこともあるでしょう。
HSPは病気ではないので、病院で治療することはできません。しかし、生きづらさが自分の気質からきているかどうか判断できます。
HSPにとって重要なことは、自分の特性を知ること。自分の特性を知ったうえで、自分らしい生き方を模索していきましょう。
