目がまわるほど忙しい日が続いている、仕事やプライベートの人間関係がうまくいかないなど、個人の抱えるストレスはさまざまです。ちょっとしたストレスであれば、運動や食事、余暇活動で解消することができます。
一方で、ストレスを複数抱えているのに気づかなかったり、気づいているのに我慢し続けたりして、ストレスが限界に達してしまうこともあるでしょう。気がつかないまま放置していると、うつ病や適応障害といった精神疾患を発症してしまうこともあります。
そうならないためにも、日頃からストレスを抱えたときに現れる心身のサインを把握しておくことが大切です。本記事では、ストレスが限界に達したときのサインや対処法を紹介しています。心が壊れてしまう前に対処し、状況に応じて専門医を頼ることも選択肢のひとつに入れるようにしましょう。
【心の症状】ストレスが限界に達した時に出る症状
コップに水がたまるように、日々のストレスは、私たちの気づかないところでひっそりとたまっていきます。小さなストレスであればそれほど容量を食いません。一方で大きなストレスや複数のストレスがある場合にはすぐにいっぱいになって溢れてしまうでしょう。
ちょっとしたことですぐキレてしまうようであれば、コップの容量は既にいっぱいであるはず。「限界である」サインと受けとめて、自分をいたわる時間を増やすようにしてくださいね。
1.気持ちが晴れない感じが続く
心身のストレスが限界に達すると、これ以上心がダメージを受けないように心が感情をシャットアウトするようになります。つらい気持ちを感じにくくなる反面、これまで好きだったことや楽しめていたことも面白くなくなってしまうのです。
表情はかたく、無表情となることが多いです。上司や同僚と話をしていても、いつもであれば適度に相槌を打ち愛想笑いをするのに、上手に笑えない……と悩んでしまいます。
2.気力がわかない状態になる
心身ともに疲弊しエネルギーが枯渇した状態では、当然気力もわきません。仕事や家事、勉強などやるべきことに時間を割きたいのに気力がわかない。それどころか、食事や風呂など、生活上のルーティンですらこなすのが面倒と感じるほどであれば要注意です。
気力がわかないので、ソファやベッドでゴロゴロすることしかできず、スマホを開いてはネットやSNSを見てしまいます。いつもなら気にならない人の呟きを見ては、訳もなくイライラしてしまうことも。
3.つまらないことでイライラする
心身ともに疲弊していると、外からの刺激に過剰に反応してしまいます。いつもなら気にならない電車やファミレスでの騒音が耳障りに聞こえたり、友人や同僚のささいな発言についイラッとして突っかかってしまうのです。
心身がストレスに対抗するために交感神経優位、つまり戦闘モードになっている可能性があります。戦闘モードが続くと疲れがたまってしまうので、意識して副交感神経優位、リラックスモードへ切り替えるようにしましょう。
【体の症状】ストレスが限界に達した時に出る症状
ストレスが限界に達すると、体にわかりやすい変化が起こります。代表的なものは睡眠と食欲です。そのほかにも、身だしなみに気を使う余裕がなくなったり、手っ取り早く不健康な方法でストレスを解消しようとしたりすることがあります。
心の症状は目に見えないため自覚しにくいですが、体の症状は変化に気づきやすい特徴があります。自分にあてはまる項目がないか、この機会にチェックしてみましょう。
1.睡眠や食事のパターンが変わる
眠る前は、自然と副交感神経が優位になり、心身ともにリラックスモードになるものです。ところがストレスが限界に達しており、常に交感神経が優位の場合はそうはいきません。体は疲れていても頭は起きているので、夜中に途中で目を覚ましてしまいます。
明け方早めに目覚めてしまうといったこともしばしば起こります。食事についてはまったく食べられなくなることもあれば、逆に異常に食欲がわいたり味の濃いものを食べすぎたりしがちです。
2.身だしなみに気を使えなくなる
気力がわかず、食事や風呂など生活上のルーティンをするのも面倒になると、髪型や服装など身だしなみに気を使えなくなります。また、部屋がゴミだらけになってしまうことも。精神的に余裕がないと、細部にまで注意を払えなくなるものです。
自分を鏡で見てみたり自分の部屋を見渡したりして、いつもと様子が違う部分や荒れた様子がないかチェックしてみてください。
3.不健康な方法でストレスを解消する
ストレスが限界に達すると、手っ取り早い方法で解消しようとする傾向があります。お酒やタバコ、カフェインなど、長期的な目線でみたときに自分の心身が傷つくような方法で対処しがちです。何度も同じ方法を取らないと解消できないほどであれば、依存症の危険が高まります。
お酒やタバコを完全に断つ必要はありませんが、それ以外のストレス解消法や対処法を身につけておくことも必要です。買い物やギャンブルはほどほどに。
自分の変化に気付いてあげられるのは自分だけ
あなたにとって大切なものは何でしょうか。どんなことに意味を感じますか。あなたが生きがいを感じるためには、何が必要かを考えてもらいたいのです。
生きがいの本質は、自分の価値観に合った活動をすること、自分の価値観に合った人付き合いをすることにあります。現在のあなたは、生きがいを感じられる状態にありますか。「〜すべきだ」と思い込みすぎて、「〜したい」という自分の気持ちを押し殺していませんか。
もし心身ともにつらい状況にあり、ストレスが限界に達しているとわかるサインが現れているなら、ぜひ自分の心の声に耳を傾けてあげてください。自分の変化に気づき、解決するために行動してあげられるのは自分だけなのです。
心が壊れる前兆に気付いたら取るべき行動
心が壊れてしまいそうなほどストレスが限界に達しているのを感じたら、早めに以下の行動をとるようにしましょう。まず、やらなくても良いことはやらないと決めてしまいます。
次に、空いた時間を休養やエネルギー回復にあてます。エネルギーが回復してきたら、セルフケアの時間を意識的に増やしましょう。ここまできてはじめて、私たちは自分が何をすべきか、何をしたいかを優先して考えられるようになります。
1.やらなくて良いことを決める
やらなくても良いことを決めるためにも、まず自分が優先したい時間を書き出してみましょう。家族や友人と過ごす時間、自分の習い事や趣味の時間、あるいはやってみたい仕事をする時間、あなたはどんな時間を優先したいと思いますか。
優先したい時間がわかったら、その時間を捻出するためにやらないことも書き出してみます。人からの頼み事、自分以外の人にもできそうな家事など、切り捨てられそうなものは思い切ってやめましょう。やらなくて良いことを決めることで心の容量を増やすことができます。
2.心身の休養とケアに専念する
心身ともに疲れ果てている場合は、エネルギーが回復するまで休んでしまうのもひとつの方法です。おいしいものを食べたりヘッドスパやマッサージを受けに行ったりしても良いでしょう。
ある程度エネルギーがたまったら、自分のしたいことをするのも良いセルフケアになります。映画を観に出かける、公園に散歩に行きカフェに寄ってみるなど、思いつくまま好きなことをしても良いですね。
3.それでも解消しなければ専門医を頼る
あらゆる方法を試しても心身の調子が回復せず、社会生活上支障をきたすほどつらいようであれば、専門医や心理士を頼るのもひとつの手段です。特に眠れなかったり食べられなかったりする場合は、心身が限界を迎えてしまう前に早めに対処することが大切です。
一人で受診するのが不安な場合は、家族やパートナーに付き添ってもらっても良いでしょう。あらかじめ睡眠時間や食事、気分などの記録をつけておくと医師とのコミュニケーションがしやすくなります。
精神的に不調を来たしたら何科を受診するべき?
精神的に不調をきたしたら、精神科や心療内科を受診するようにしてください。精神科は気分の落ち込みや不安など、精神的な不調を専門に診てくれる機関です。うつ病や適応障害、不安障害が疑われる場合は精神科をおすすめします。
心療内科は頭痛や腹痛、めまいや動悸など、精神的な不調が原因で体にも症状が出る疾患を専門に診てくれます。逆流性食道炎や過敏性腸症候群などが該当します。どちらを受診するか迷ったら、かかりつけ医に判断を仰いでみるのもひとつの方法です。
体の疲れと同じように、心の状態にも敏感になろう
私たちの心と体は本質的につながっています。
疲労や栄養不足の状態にあれば、大なり小なり不快感をおぼえるものです。不快感があると無気力になるため、運動や食事を怠りがちになります。さらに深刻になると心の病気となり、心身ともに大ダメージを受けてしまいます。
原因が見あたらないのに体が疲れるときは、心の疲労が影響している場合が多々あります。日頃から心の状態、心の疲れにも気を配り、適度にセルフケアをすることを忘れずにいてくださいね。
